完璧なシャツである、シャツでは無いシャツ。

拝啓皆々様、日頃シャツを着られておりますでしょうか。

僕はかのLondon-based companyであるS.E.H Kellyに影響されてからというものの1年365日着用しております。

というのは少々話を盛りすぎなところがありまして、実際は300日ぐらい、でしょうか。

僕はかなりの痩せ型であるので、夏の暑い日にTシャツ1枚でお出かけできるフィジカルと精神を持ち合わせておらず

その辺を長袖シャツでちょちょいと誤魔化しているみたいなところです。

あとは単純にシャツというアイテムあるいはカテゴリーあるいはレイヤー的なものが好きなのですね。

ボタンを一番上まで留めて、神経質っぽい感じが出るような出ないような。

アタシお固いのよ的なアレがきっと漂うと思うんです、どうでしょう。

 

さて前置きがくどく感じるそのちょっと前に本題のシャツでございます。

 

イサムカタヤマバックラッシュというレザーの扱いを得意としているブランドさんがありまして

そちらからリリースされているレザーシャツをこよなく愛しております。

 

素材はカンガルーの革をうす〜く漉いて毛を起こしてあります。スエードってやつですね。

いわゆる世の中でたまに見かけるレザーシャツというレイヤーって、シャツの形をしているけれど

モノとしてはレザージャケットで着用するような仕様が殆どだと思います。

ところがどっこいこのカンガルーさんのシャツは厚みが0.4mmほどらしいので

「完璧にシャツ」というレイヤーに降りてきてくれています。

裏地がなくて着心地は柔らかく、ストレスは一切無いけれど非常に丈夫なようで、レザーであるという感覚をつい忘れて仕舞いがちです。

他の機能面に触れておくと、圧倒的な保温能力と透湿性を持ち合わせているのがめちゃくちゃ凄いところで

夏の日差しが強い日はリネンシャツより蒸れずにいて、それでいて暗くて寒い冬の日はアウターウェアの下に着ておくと

ウールのジャンパーより暖かいみたいな驚異の一年選手です。

あんまり関係ないですがグレヴィレアというフラミンゴの塊みたいな木は年中花を咲かせるそう。

 

ここいらでちょいとディテールにも触れましょう。あんまり詳しくないので適当なことを書きます。

なんか胸のあたりがビロビロしています。

ピンタックと言われるアレで、タキシードの下に着るウィングカラーシャツに用いられたりするやつとして

知られてるようなそうじゃないようなビロビロです。

ボタンは鉄で出来ていて、ひたすらにハードだぜってノリだと思います。

剣ボロ。

フィジカルに自信がある諸兄は腕を捲ってもよさげ。僕はやりません。

背中にギャザーあるいはタックとかは入っておりません。革に伸縮性があるので必要ない感じでしょうね。

全体的なサイズ感として、バックラッシュさん伝統のピタピタサイズです。

この型に関しては今までより裾幅をゆったりめにしてあるそうですが

180cm57kgのガリガリ君である写真の彼がMサイズを着てもビタビタです。

前述の伸縮性により窮屈感はないものの、肩幅はもう少し広めに取ってくれてもな〜と思ったり。

肩幅が詰まったサイズってガンバリマス感が出ちゃうのであんまり好きじゃないのよ。

 

色々触れてきましたが、それぐらい僕の中で信頼されているという証明でしょう。

フォーマルシャツの意匠を取り入れてヒネりつつ、更に一年中着ることができるような機能性を持っています。

あと家庭でお洗濯も出来ちゃいますね。匂いや汚れにも強いのですがたまには手もみぬるま湯洗いしてやりましょう。

さらに嬉しいことにはシワになることもありません。

といっても前述の手もみ洗いして干した後はシワが出来たりするのですが着用すれば伸びて元通りになるので

ぐるぐる丸めてバッグに詰め込んでラピュタへGO!というようなノリでも使えちゃって・・・

みたいなファンクションをレザーで実現しているけれど

あたかも「普通の黒いシャツ」としてそのレイヤーを全うしているのって何だか怖くありませんか。

僕は時々こいつが恐ろしくなります。お前は一体誰なんだ、と。

日頃変な格好で社会している僕はそこそこ服装について周辺の方々よりツッコミが入りますが

このシャツに関しては全く触れられたことがありません。

そのぐらいこいつはあたかも普通の黒いシャツとして僕の皮膚の上を占拠しているのです。

護ってもらっているのに酷い言い草で恐縮ですが、愛情の裏返しみたいなもんとして・・・。

 

 

完璧にシャツとして在る、しかしもはやシャツではない、そしてまたジャケットでもない。